新薬開発における臨床試験のフェーズは、フェーズI、フェーズII、フェーズIII、フェーズIVの4つに分かれています。
- フェーズI は、ヒトでの薬の安全性を評価する試験です。通常、健康なボランティアを対象に、少量の薬を投与して、薬が体内でどのように代謝され、分布され、排泄されるかを調べます。
- フェーズII は、薬の有効性を評価する試験です。通常、少数の患者を対象に、薬を既存の治療法と比較して、薬が疾患の治療に効果的かどうかを調べます。
- フェーズIII は、薬の有効性と安全性をさらに評価する試験です。通常、多くの患者を対象に、薬を既存の治療法と比較して、薬が疾患の治療に効果的であり、安全に使用できるかどうかを調べます。
- フェーズIV は、薬が市場に出回った後に実施される試験です。通常、多くの患者を対象に、薬の長期的な有効性と安全性を調べます。また、薬の副作用が新たに発見された場合や、薬の使用方法について新しい情報が判明した場合にも実施されます。
各フェーズで実施される試験の詳細は次のとおりです。
フェーズI
- 被験者数:数十人
- 試験期間:数週間から数か月
- 目的:薬の安全性と忍容性を評価する
- 方法:健康なボランティアを対象に、少量の薬を投与する
フェーズII
- 被験者数:数百人
- 試験期間:数か月から1年
- 目的:薬の有効性を評価する
- 方法:疾患の患者を対象に、薬を既存の治療法と比較する
フェーズIII
- 被験者数:数千人から数万人(ただし、希少疾病の場合は被験者数ははるかに少なくなります)
- 試験期間:数年
- 目的:薬の有効性と安全性をさらに評価する
- 方法:疾患の患者を対象に、薬を既存の治療法と比較する
フェーズIV
- 被験者数:数万人から数百万人
- 試験期間:数年から数十年
- 目的:薬の長期的な有効性と安全性を評価する
- 方法:薬が市場に出回った後に、疾患の患者を対象に、薬を投与する
各フェーズで実施される試験は、それぞれが前のフェーズの結果に基づいています。つまり、フェーズIの試験では、薬の安全性と忍容性が確認された後にのみ、フェーズIIの試験に移行します。同様に、フェーズIIの試験では、薬の有効性が確認された後にのみ、フェーズIIIの試験に移行します。
臨床試験は、新薬が市場に出回る前に実施される最後のステップです。これらの試験は、薬が安全で効果的であり、患者にとって適切であることを確認するために重要です。
新薬の製造承認はフェーズⅢでの成功が最後の関門となります。これから新薬として世に出る可能性はこれらの中から出てきますので、製薬会社、研究者、患者さんには関心の高い分野です。